
続・山女日記 残照の頂 (幻冬舎文庫)
湊 かなえ (著)
湊かなえさんの登山小説「山女日記」が実写化されたのが5年前。このたび、TVドラマ化の第3弾シリーズが放映されました。
■NHKオンデマンド「山女日記」(BSプレミアム)
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2021116543SA000/
主人公は工藤夕貴さん演じる登山ガイドの立花柚月。彼女がガイドするお客様はみな何らかの悩みを持っていて、原作の「残照の頂」のタイトル通り、登山を通じて暗中模索の人生に日が差す様子が描かれています。

山女日記1では新人ガイドだった柚月、今回のシリーズでは登山ガイドのステージ3に昇格していました。それに合わせてか、登山装備も一新されています。
5年前に作中の登山装備はどこのブランドのどんなアイテムを使っているのかを探して特定したのですが、今回のシーズン3を見て色々気になったので特定してみました。
ドラマは全6話。まずは前半の1~3話で特定したアイテムをご紹介します。
目次
立花柚月の登山道具
ジャケット、ウインドブレーカー
MONTURA(モンチュラ)
ALL MOUNTAIN JACKET WOMAN
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立花柚月が着ていたジャケットは、イタリアのアウトドアメーカー・モンチュラのオールマウンテンジャケットのようです。防水透湿生地のゴアテックスや止水ジッパーを採用し、冬の高山のハードシェルジャケットとしても使える高性能なジャケット。上下両開きのフロントファスナーが便利。

登山靴、トレッキングシューズ
LA SPORTIVA(スポルティバ)
Women's Trango Tech GTX
立花柚月の登山靴は、イタリアの登山シューズブランド・スポルティバのトランゴテックでした。重そうに見えますが片足が595g(EU42サイズ)でかなり軽量。クライミングシューズのようなフィット感がありテクニカルなルートで軽快な足さばきを可能にします。防水機能や長時間歩行時の疲労を軽減するミッドソール、グリップ力のあるビブラムソールなどを備えた高機能なマウンテンブーツです。
登山ザック(リュック)
MILLET(ミレー)
UBIC 30 LD
最初に柚月が背負っていたザックは、フランスの登山メーカー・ミレーのウビックでした。軽量で頑丈、トレッキングからクライミング・バックカントリーまで幅広く対応するオールラウンドモデル。女性の体格に合わせたフィッティングを採用しているレディースモデルで、トレッキングポールなどの長物を取り付ける機構も便利です。

MILLET(ミレー)
PROLIGHTER 30+10
白馬岳をガイドしている時に背負っていたザックは、ミレーのプロライターだと思われます。アルパインクライミングから山スキー・夏山縦走と様々な用途に対応するオールシーズン対応のテクニカルパック。生地は、軽量で引き裂きに強い3ラインハニカムナイロンを採用。人間工学に基づいた背面システム「X-LIGHTER BACK」は通気性と快適性に優れ、クライミングハーネスに干渉しにくいベルト、ワンタッチでリリースできるアイスアックスホルダーなどプロの用途に応える高機能ザックです。

トレッキングポール
レキ(LEKI)
トレッキングポール レガシーライトAS
トレッキングポールは、ドイツの高級トレッキングポールメーカー・レキのレガシーライトASブロンズカラーでした。衝撃を吸収するアンチショックシステムも採用、上中段に採用したスピードロック・プラスシステムで長さ調節がスピーディーに行えます。新タイプのグリップは握りやすく、2本で460gはかなり軽量。
ヘルメット
MILLET(ミレー)
SUMMIT PRO HELMET MIS2155
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ヘルメットはミレーのサミットプロでした。カラーはELECTRIC BLUE。クライミングやバリエーションルートの登山用にデザインされた、軽量で耐久性のあるクライミングヘルメットです。

ダウンジャケット
MONTURA(モンチュラ)
Cristallo Duvet Jacket WOMAN
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夕日を眺めるシーンで着ていたダウンジャケットもモンチュラでした。Cristallo Duvetは防水透湿ダウンジャケットで、表地に耐久撥水加工された2レイヤー防水透湿ナイロンを採用。多少の雨でも平気です。超軽量で高機能なポリエステルの中綿や撥水加工されたホワイトダックダウンなどを使用し、暖かさは790フィルパワー。止水ジッパー付きでフードはヘルメット対応など、冬のアクティブな登山に適した高機能ダウンジャケットです。キッズ用表記ですが、165cmまでサイズがあります。
ヘッドライト
BLACKDIAMOND(ブラックダイヤモンド)
コズモ250
帽子の上に巻いていたヘッドライトは、クライミングブランド・ブラックダイヤモンドのコズモ。照射距離が最大72m、明るさは最大250ルーメン。直感的に操作できるデザインで、近接/遠距離モード、水深1.1mに30分耐えうる防水性なども備えています。
柚月の自動車(ジムニー)
引用:wikipedia「ジムニー」 photo:Tennen-Gas
Suzuki(スズキ)
ジムニー JA11 パノラミックルーフ
柚月が運転している赤い車はスズキ・ジムニーのJA11パノラミックルーフ。ボディをすべて赤塗装して、前面グリルをこちらのハマールックに変更したものです。

第1話「始まりの山・白馬岳」の登山用品・小道具
柚月の父・立花昭一のコーヒー道具
HARIO(ハリオ)
V60ドリップケトル
父・立花昭一のカフェでカウンターにあったコーヒー器具。使っていたのはハリオのV60ドリップケトル、カラーはヘアラインシルバーでした。細口でお湯を注ぎやすくガス火以外にIHにも対応。フタは逆さに置けるフラットツマミで使いやすいです。

HARIO (ハリオ)
ネルドリップ ポット ウッドネック 3~4杯用
父・昭一が使っているコーヒー抽出器具は、ハリオのネルドリップポットウッドネック。三角フラスコと漏斗を合体させたフォルムと木製の持ち手がオシャレで、ネルドリップのろか器が付属。ネルは布フィルターの洗浄・保管のメンテナンスがちょっと面倒ですが、手間のかかる分コーヒーオイルが混じったコクのあるまったりとしたコーヒーが楽しめます。

なお、ネルのろか器を置いていたステンレスのポットはカリタのコーヒーミルクフォーマーポットが近似しています。
低体温症救出時のツェルトとバーナー
モンベル(mont-bell)
ライトツェルト
白馬岳で低体温症になっていた登山者を助けるときに使われたツェルトは、モンベルのライトツェルト。ポールを立てるとテントのようになってある程度の雨風をしのげる非常用の簡易シェルター。タープのように張ったり、ポンチョのように被ったりと様々な形で使えます。悪天候時や遭難時、山で夜を過ごすことになった時などの非常時の備えとして、ツェルトの携行は薦められています。
PRIMUS(プリムス)
P-153 ウルトラバーナー
遭難した人に温かい飲み物を提供する時に使われたバーナー(火器)は、プリムスのP153でした。ガスカートリッジを取り付けて使用するアウトドア用の小型携帯ガスこんろで、火力がありコンパクトで計量で頑丈。自動点火装置も付いていて、初心者からベテランまで愛用者が多いバーナーです。

PRIMUS(プリムス)
ライテックトレックケトル&パン
お湯を作るときに使った取っ手付きのコッヘル(食器)は、プリムスのライテックトレックケトルセットでした。折り畳み式の取っ手が鍋とフタの両方に付いていて、フタはフライパンとしても使えます。中にガスカートリッジとバーナーを入れてコンパクトに収納できます。加熱しても取っ手が熱くなりにくいようにシリコンチューブが付けられています。価格も手ごろで使いやすいセットです。
natural spirit(ナチュラルスピリット)
カラビナカップ ブルー
飲み物を提供したときに使ったカップは、ナチュラルスピリットのカラビナカップ。山女日記1でも登場した立花柚月の愛用カップで、ステンレスの2重構造のため保温保冷に優れています。容量250ccでコーヒーを飲むのにちょうどいいサイズ。
形見の熊鈴(ベアベル)
NedFoss
熊よけベル
第1話のキーアイテムとなったお守りの熊鈴、形状的にこちらのベルのようです。真鍮製で消音機能付き。ドラマ内では茶色に経年変化していたのでかなり使い込んでいると思われます。
第2話「ロマンスの道しるべ・雨飾山」の登山用品・小道具
立花柚月が参考にした登山本
別冊山と溪谷
野外用具パーフェクトブック 08_09
柚月の机の本棚にあった本、山と渓谷社の野外用具パーフェクトブックです。この年の号には登山ガイドなどの「プロフェッショナルの山道具」が特集されています。柚月はこの本を参考にしてガイド装備を揃えたんだろうなという人物像が見えてきます。
立花柚月の登山ベスト
MONTURA(モンチュラ)
Women's Ski Style Vest
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柚月が着ていたグレーのベスト、モンチュラのスキースタイルベストでした。耐久撥水性のある4wayストレッチソフトシェル素材を使用したベストで、ライニング部にはメッシュ素材を採用。裾は伸縮性がありフィット性に優れています。このカラーはもう廃盤になっているようです。
深田久弥氏が腰に下げていた水筒
昭五式水筒
若き日の深田久弥氏が腰に下げていた水筒、昭和初期のアルミ製またはアルマイト製の水筒が使われていました。NHKなので戦争ドラマなどで使われた水筒が用意されたのでしょうか。重さは約270gと意外と軽量。今はレプリカモデルが販売されているので、レトロ登山をしたいときに使えます。
日本百名山 (新潮文庫)
深田 久弥 (著)

柚月の山コーヒー道具
THERMOS(サーモス)
山専用ステンレスボトル500ml FFX-501
雨飾山山頂での山コーヒー、ドリップコーヒーを受けるサーバーとして使われた水筒はサーモスの山専用ボトルでした。カラーはマットブラック。熱湯が6時間後でも77度以上という最強クラスの保温力を持つ、エベレスト登山などでも使われる逸品。コーヒーは再加熱すると味が落ちるので、寒くて風の強い山頂ではこういった保温力のある容器で受けると美味しさと熱さがキープできます。
ユニフレーム(UNIFLAME)
コーヒーバネット cute
山コーヒーで使った針金ドリッパーは、おそらくユニフレームのコーヒーバネットキュートです。たたむと平らになってコンパクトに収納可能。軽量で、洗って何回でも使えます。サーモス水筒に載せるとちょっと不安定になるので倒れないように注意が必要です。

父・昭一がコーヒー宅配で使ったピクニックバスケット
LoaMythos(ロアミトス)
ピクニックバスケット
父・昭一がコーヒーの宅配で使っていた1本手の編み柳角型バスケット、こちらの商品が近似しています。定番の煮柳で編まれたフタ付きのイギリス式ピクニックバスケットで、食器などのカトラリーセットが付属されています。ドラマでは昭一はフタを外して使っているようです。こういったアイテムがあるとアウトドア気分を更に盛り上げることができます。
第3話「あどけない空・安達太良山」の登山用品・小道具
二本松のひとくち羊羹(ようかん)
玉嶋屋
本煉羊羹ミニサイズ
3話のキーアイテムとなった二本松のようかん。福島県二本松市本町の玉嶋屋さんのようかんでした。江戸時代の二本松藩の御用菓子として製造され、伝統製法で今も作られている本物の二本松羊羹。楢(ナラ)の薪を燃料に練り上げ、竹の皮で直に包まれています。昭和40年の全国菓子博覧会にて、東北で初の最高賞名誉総裁賞を受領されている銘菓です。

立花柚月の登山ジャケット(市街地)
MILLET(ミレー)
TYPHON 50000 ストレッチジャケット
友人・向井英子のお店を訪問する時に着ていた水色のジャケットは、ミレーのティフォン。50,000g/m2/24hの最高クラスの透湿性と高い耐水性・快適な着心地を実現させた高機能なレインジャケット。裏地はシルクタッチの肌触りでストレッチがきいて動きやすく、細身のすっきりとしたシルエットのため街使いとしても使えます。
立花柚月の登山ジャケット(登山時)
MILLET(ミレー)
LD TRILOGY CORDURA HOODIE
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3話で柚月が着ていた袖が赤いジャケットは、ミレーのトリロジーコーデュラフーディー、カラーはDAWN/ROUGEと思われます。幅広い山岳行動に適したテクニカルソフトシェルで、耐風性・撥水性・通気性・耐久性に優れたコーデュラナイロンのX.C.S.TMソフトシェル素材を採用。人間工学に基づいた立体裁断と適度なストレッチによるストレスのない動きやすさを実現しています。このモデルは2017年に発売され、現在は廃盤に。希望小売価格は24,200円でした。
立花柚月のザックの肩についていたドリンクホルダー
MILLET(ミレー)
LIGHT BOTTLE POCKET
柚月のザックのショルダーベルトにペットボトルが入るホルダーが付いていました。ミレーのライトボトルポケットです。フックと背面のホルダーを使えばショルダーベルトにしっかり固定が可能。 ホイッスルも付いています。
湊かなえさんが持っていたトレッキングポール
Black Diamond(ブラックダイヤモンド)
Women's ディスタンスFLZ
山ですれ違った昔のガイド客は、原作者の湊かなえさんが演じられていました。手にされていたトレッキングポールは、ブラックダイヤモンドのディスタンスFLZ。折り畳み式のZポールでコンパクトに収納でき、fフリックロック&スライドロック機構を採用しているのでスピーディーに長さを調整できます。全長95-110 cmのモデルを使っていると思われます。現在のモデルはロック部分がパープルではなくターコイズになっています。
安達太良山山頂コーヒーで使われた携帯テーブル
AUOPRO
キャンプテーブル
柚月が山頂でコーヒーを淹れる際に使っていたテーブルは、こちらのローテーブルが近似しています。パタパタ畳めるタイプで持ち運びはコンパクト、広げた時のテーブルサイズは約40cm×30cm。1パーティーくらいのカップは置ける広さです。高さは約13cmで低く、耐荷重は約30kg。中国ブランドの製品ですが、品質はまあまあのようです。
高村光太郎の智恵子抄
智恵子抄 (新潮文庫) 文庫
高村 光太郎 (著)
第3話のもうひとつのキーアイテム「智恵子抄」。高村光太郎の妻・智恵子は実家が破産して環境が変わり、心を病みました。友人・向井英子の心情にも近いものがあります。「智恵子は東京に空が無いといふ、ほんとの空が見たいといふ。(中略)阿多多羅山の山の上に毎日出てゐる青い空が智恵子のほんとの空だといふ。」。ドラマで映された安達太良山の空は見事な青でした。さすがNHKです。
田中澄江の「花の百名山」
花の百名山 (文春文庫) 文庫
田中 澄江 (著)
1980年に刊行された、脚本家・田中澄江さんによる山と花のエッセイ。魅力的な花を咲かせる100の山が紹介されています。第32回読売文学賞を受賞し、多くの登山家・花好きに読まれているロングセラー作品です。
山女日記3 4話以降の登山道具特定
立花の登山装備、全体的に有名登山ブランドの高価で良いやつを揃えているという印象です。さすがは登山ガイドというチョイスで、ミレー&モンチュラ推しというのもオシャレです。
なお、「山女日記1」ではPeachBloom帽子店の帽子デザイナー・入澤恭子さんが帽子を作られましたが、ブログによると今回は帽子製作には携わらず撮影現場での指導・小物の貸出しをされたとの事です。
