【2021年10月追記】
山女日記 (幻冬舎文庫)
湊 かなえ (著)
湊かなえさんの登山小説「山女日記」が実写化されました。主演は工藤夕貴さん。女優の工藤さんは「実践!にっぽん百名山」のナビゲーターとして山登りの経験も豊富で、まさに適役。ドラマのメインキャストには黄川田将也さん、夏菜さん、かたせ梨乃さん、萩原聖人さんなど、豪華なメンバーを起用しています。
気になるのが、工藤さん演じる新米登山ガイド・立花柚月(たちばなゆずき)が身に着けている登山装備。どこのアウトドアブランドのどんな登山アイテムを選んでいるのでしょうか。録画した映像を見ながらいろいろと検索して装備を特定してみました。
目次
山女日記 立花柚月(工藤夕貴さん)の登山装備
立花柚月が被っている帽子・キャップ
PeachBloom(ピーチブルーム)
オーダーメイド帽
立花柚月が被っている独特な形をした帽子。これ、登山店では売っていません。小説の設定で柚月が帽子職人なのを踏まえて、オーダーメイドで作られているんです。製作したのは、東京・世田谷の帽子専門のアトリエ「PeachBloom(ピーチブルーム)」さん。すでにドラマを見た人から問い合わせや注文が来ているようです。柚月のような革パッチワーク帽が欲しいという方は是非オーダーメイドで注文してみてはいかがでしょうか。
Columbia(コロンビア)
シッカモアキャップ
「山女日記」とタイトルが出てくる時、山々の稜線をバックに立花が左を向いていますが、その時に被っている帽子はコロンビアのシッカモアキャップです。紫外線をカットするサンプロテクション機能「オムニシェイド」を採用し、汗止め&吸湿速乾素材も使用。夏に活躍するキャップです。
立花柚月の登山ザック(リュック)
Millet(ミレー)
UBIC(ウビック) 30 LD
立花柚月が背負っているザック。紺色で、ショルダーベルトにミレーのロゴ、水色の止水ジップ。ミレーのウビック30Lのマジョリカブルーです。ストックはもちろん、ピッケル・テントマット・スノーシュー・スキーなど様々なギアに対応し、通常のハイキングからテント泊縦走、山スキー・アルパインクライミング・スノーシューなど幅広いフィールドで使えるマルチザックです。まさに山岳ガイド役に適したザックだと思います。
立花柚月のジャケット・シャツ
Millet(ミレー)
TRILOGY DRY GRID SHIRT レディース
主人公の立花柚月がよく着ているブルーのシャツ、半袖で襟付きで肩にミレーのロゴがあります。これはミレーのトリロジー・ドライグリッドシャツです。吸湿発散性と速乾性に優れ、体型に合うアルパインフィットで登る時の激しい動きにも対応。細菌やバクテリアの繁殖を抑えるポリジーン加工もされている高機能な山シャツです。
Millet(ミレー)
Trilogy Down Blend Jacket LD
立花が着ている白のダウンジャケットもミレーです。トリロジーのダウンブレンドジャケット。優れた軽量性とコンパクト性を持ち、700FP(フィルパワー)のホワイトダックダウンを使用。表地は撥水性もあります。女性のために設計された高山仕様のダウンジャケットです。
MAMMUT(マムート)
イリニザライトジッププル レディース チル/ライム
冒頭のモノローグのシーンで立花柚月が着ていた長袖のシャツ。クライミングブランド・マムートのイリニザライトジッププルです。軽くてストレッチ性があり、吸湿速乾性にも優れ、抗菌加工もされています。肩の擦れを減少するオフセットシームは、手を使って登る箇所でのストレスを軽減してくれます。
MAMMUT(マムート)
レディース アコンカグア フリース ジャケット
立花が時々来ているブルーのフリースもマムートです。このフリースジャケットは吸湿速乾性と耐久性に優れ、4方向に伸縮してハードな動きにも対応。値段に比例した高性能なフリースです。カラーはちょっと明るい青なのでOrion/Marineかなと思います。
立花柚月の登山パンツ・ズボン
MAMMUT(マムート)
SOFtech TRAVERSE Pants Women
立花が履いているズボンは、マンモスロゴの位置と配色的にマムートのソフテックトラバースパンツと思われます。耐久撥水性と防風性に優れた二重織り素材を使用したソフトシェルパンツで、オールシーズン使えます。
立花柚月の登山靴
mont-bell(モンベル)
ツオロミーブーツ Women's
立花柚月が履いている登山靴は、先端の形状的にモンベルのツオロミーブーツです。夏場の長期縦走やトレッキングなどに最適な、ハイカットの全天候型ブーツ。ドラマでは靴ひもの色が水色になっていたので、元から付いていた紐を別の紐に変えているようです。
立花柚月のトレッキングポール
Helinox(ヘリノックス)
登山ポール LBB-120 ブルー 1822302
立花が使っている青いトレッキングポール、ブルーのボディにレバーロック機構付き。おそらくヘリノックスのLBB120の2014年モデルのステッキだと思われます。レバー&ボタン式なので伸縮時の作業がラクで、軽量かつコンパクトに収納できます。
立花柚月のカップ
natural spirit(ナチュラルスピリット)
カラビナカップ ブルー
その立花が背負っているザックにぶら下がっているカップは、ナチュラルスピリットのカラビナカップだと思われます。ステンレスの2重構造で保温保冷能力があります。250ccなのでコーヒーを飲むのにちょうどいいサイズです。
第1話に登場したアイテム・ギア
HARIO (ハリオ)
手挽きコーヒーミル コラム CM-502C
第1話にて主人公の立花柚月が寝起きでコーヒーを入れているシーン。ガリガリと手挽きミルで豆を挽いています。本体のフォルム的に、コーヒーメーカー大手・ハリオのコラムです。蓋が開閉式なので挽いている時に豆の破片が飛び散りません。
HARIO (ハリオ)
ネルドリップ ポット ウッドネック 3~4杯用
そして豆を挽いたあとはネルドリップでコーヒーをドリップ。これもミルと同じくハリオのネルドリップポット・ウッドネックのオリーブウッドカラーです。わざわざ手間のかかるネルで淹れるなんて主人公の立花はなかなかのコーヒー通です。
CW-X(シーダブリューエックス)
スポーツタイツ スタビライクス レディース HZY149
コーヒーを飲んだシーンの後、インタビュー明けでタイツを履くシーンになります。ラインのデザイン的にCWXのスタビライクスです。カラーは暗がりでわかりにくかったのですがTUのターコイズだと思います。こういった機能性タイツは、腰や股関節が安定するので重心や軸足のふらつきが減り、テーピングの原理で着地の際のヒザへの衝撃も緩和してくれます。
第2話に登場したアイテム・ギア
PETZL(ペツル)
ティカ
第2話の冒頭、立花が朝日を眺めているシーン。頭に着けているヘッドライトはPETZL(ペツル)のティカです。LEDが4つの旧モデル。おそらく2011年ごろに発売されたものです。雨が降っても使える防水性能、85gという軽さ、180時間使用可能な長寿命。ペツルを選ぶ人は多いです。
ザンバラン(zamberlan)
パスビオ GT ウィメンズ
第2話で神崎(温水陽一)が西山(南野洋子)にプレゼントしたイタリア製の登山靴。ザンバランのパスビオ GT ウィメンズです。お値段約3万円。かなりしっかりした作りで重そうに見えますが、重さは530gと軽量。ブランド力といい、性能といい、贈り物としては渋いチョイスです。なお基本的に登山靴はフィッティングしてから買うのが常識なので、サプライズプレゼントには適しませんのでご注意ください。ちなみに原作小説でプレゼントしていたのはダナーの登山靴でした。
第3話に登場したアイテム・ギア
mont-bell(モンベル)
EXライト ウインドジャケット Women's
第3話の冒頭で立花がランニングをしているシーン。立花が羽織っていたアウターはモンベルのEXライトウインドジャケットです。わずか40gで超軽量、ポケットに入る大きさになるコンパクトさでありながらしっかり風を防いでくれます。私もこれのサイクリング版を持っていますが、かなり使えます。
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)
GTDキャップ NN01673 W
同じランニングシーンで立花が被っているキャップは、ノースフェイスのGTDキャップ。ストレッチ性と吸水速乾性に優れるRDT™ライトメッシュ素材を使用。UVケア機能もついたランニングキャップです。
mont-bell(モンベル)
レインダンサー ジャケット Women's ペールインディゴ XS
第3話で立花の元同僚の舞子が着ていたのはモンベルのレインダンサージャケット。防水透湿生地のゴアテックスを使用し、軽量性・コンパクト性にも優れるスタンダードモデルです。上下セットで揃えて3万円以内、レインウェアの中ではまあまあお手軽でそこそこ性能の良い雨具です。
Columbia(コロンビア)
ファストトレックIIフルジップフリースジャケット レディース
舞子が着ていたフリースはコロンビアのファストトレックでした。運動性を考慮していて、シェイプが効いた女性らしいシルエットのフリース。アウトドアから日常使いまで使えるデザインです。
Columbia(コロンビア)
バークマウンテン30Lバックパック PU9845 2.ストーン
第3話の後半、立花結月が登山店で買った初めてのザックは、コロンビアのバークマウンテン30Lのストーンカラーだと思われます。ロングトレイルやハイキングなどに適したモデルで、雨蓋を上へずらして容量を増やす事ができるトップローディングタイプ。レインカバーもついているので初心者におすすめのザックだと思います。ちなみに登山店のロケ地は、入り口のクライミングホールドの配置的に好日山荘池袋西口店のようです。
第4話に登場したアイテム・ギア
JETBOIL(ジェットボイル)
MiniMO(ミニモ)
第4話、足を負傷した舞子にガイドの柚月がオリジナルのハーブティーを作るシーン。お湯を沸かすのに使っていたバーナーポットはジェットボイルのMinimo(ミニモ)です。すぐにお湯が沸き、強火での急速沸騰からとろ火まで火加減を繊細に調節できます。
第5話の吉田真守(萩原聖人)の山コーヒーアイテム
UNIFLAME(ユニフレーム)
コーヒーバネット sierra シェラ
柚月の元恋人・吉田真守が回想シーンでネルドリップコーヒーを淹れるシーン。使っているドリッパーはユニフレームのコーヒーバネット・シェラです。針金を組み合わせたドリッパーで、軽量かつコンパクト。この土台はシェラカップ用なのですがドラマではマグカップに使っています。マグにはコーヒーバネットcute(キュート)の方が安定します。
コールマン
パッカアウェイケトル/0.6L
お湯を注ぐのに使っているケトル(やかん)は、コールマンのパッカウェイケトル。傷がつきにくいアノダイズド加工、滑りにくいシリコンハンドル、最後まで傾けてもフタが外れない設計と、使い勝手が良いのにamazon価格は2000円以下。お手頃の山コーヒーケトルです。
PRIMUS(プリムス)
IP-2243PA バーナーストーブ
お湯を沸かすのに使っていたバーナー(ガスストーブ)は、プリムスの2243ストーブ。昔ながらの伝統のX字ゴトク、コンパクト性は劣りますが防風性能が高く、コッヘル(鍋)を置いても安定しやすいです。最近のバーナーは小型化が主流なので、渋いチョイスだと思います。
カリタ
手付きフィルター 小(4~5人用) #51047
ネルドリップに使っているのはおそらくカリタのネルフィルターだと思います。4~5人用です。
第6話に登場したアイテム・ギア
パナソニック
FM/AM 2バンドラジオ シルバー RF-P155-S
牧野しのぶが気象通報を聞いてマッピングをしているシーン。牧野のポケットラジオはパナソニックのRF-P155-Sだと思われます。デジタルチューナー搭載で選局が簡単、暗い場所でも使いやすい「蛍光色ポインター&光るダイヤルパネル」機能を搭載しています。手頃な価格の携帯ラジオです。
mont-bell(モンベル)
コンパクト ヘッドランプ
牧野しのぶが使っているヘッドライトはモンベルのコンパクトヘッドランプ。単三電池1本で使用可能で、本体重量は54gと軽く、防水仕様にもなっています。カラーは全5色です。なお夏菜さんが演じる木嶋陽菜も同じヘッドライトで、カラーはフューシャ(紫)です。
MOUNTAIN HARD WEAR(マウンテンハードウェア)
インシュレーテッドフーデッドジャケット
木嶋(黄川田将也)が着ているウェアは、マウンテンハードウェアのインシュレーテッドフーデッドジャケット。なめらかで耐摩耗性に優れたストレッチフリースを用いた中間着です。胸と肩の部分には中綿が入っていて「ダウンベスト兼フリース」のような新しいウェアです。カラーは967のサンダーヘッドグレーです。
第7話に登場したアイテム・ギア
mont-bell(モンベル)
クリマエア ジャケット Men's
如月直子(かたせ梨乃)の夫の時計が見つかり、手渡すシーン。木嶋(黄川田将也)が着ていたモンベルのウェアはクリマエアジャケットです。軽量でありながら高い保温性を持ち、脇と袖口にストレッチ素材を使っていて動きやすいジャケットです。私もモンベルのクリマエアのウェアを持っていますがホントに暖かくて冬の必需品になっています。値段が手頃なのも嬉しいです。
ニッピン
メスナーテント GORE-TEX
立花柚月が使っていたテントは「メスナーテント」でした。かなり渋いチョイスで、しかも今は生産中止になっているゴアテックス版でした。(現在はN-LAMINATEを使用したモデルになっています) 1978年に人類初のエベレスト無酸素登頂を果たした登山界のレジェンド・ラインホルトメスナー。そのエベレストで使用したのが1951年創業の日本のアウトドア用品店・ニッピンのメスナーテントです。世界初のゴアテックスシングルウォールで軽く、酸素が薄くて意識がもうろうとしていても組み立てやすく、8000m峰の強風に耐える性能を持っています。通が選ぶテントです。
見逃した方はNHKオンデマンドで視聴できます
わかる範囲で登山グッズの特定をさせて頂きました。個人的には主人公の柚月とその元彼の吉田真守がネルドリップでコーヒーを淹れているのが見どころでした。ネルは布フィルターを洗って保管するなどちょっと手間がかかります。ただ、ネル抽出も趣きがあるのでいつか山でトライしたいと思います。
ドラマを見逃した方はNHKオンデマンドによるネット視聴をおすすめします。料金は動画単品で216円。また、「山女日記」の原作小説はドラマ版とは構成が全然違います。作家・湊かなえさんの「登山」の描写力と登場人物の人間ドラマの心の機微は読みごたえがあり、心が晴れやかになります。読み応えのある登山小説でした。
山女日記 (幻冬舎文庫)
湊 かなえ (著)