おいしい山コーヒーの楽しみ方。
第3弾は、マキネッタ(直火式エスプレッソメーカー)を使った山コーヒーです。
このイタリアのコーヒーポット・マキネッタを使った抽出方法は、山コーヒーの中で一押しの抽出法です。
香り良し、コク十分、コーヒーはアツアツ。
コーヒーがぬるくなりがちな冬場でも美味しい一杯が楽しめます。
【マキネッタ(直火式エスプレッソメーカー)とは?】
これはイタリア・ビアレッティ社の「モカ・エキスプレス」。
イタリアの各家庭に1台はあるというメジャーなコーヒーポットで、「モカ」や「マキネッタ」と呼ばれ、日本では主に「直火式エスプレッソメーカー」と呼ばれています。
これで淹れるコーヒーは、イタリアではエスプレッソではなく「モカ」と呼ばれています。
エスプレッソは9気圧、マキネッタは2気圧での抽出。
抽出スピードも味わいのコクも異なります。
ペーパーフィルターのドリップと比較すると、ドリップはペーパーがコーヒーオイルを吸い取ってしまいますが、このマキネッタは金属フィルターでろ過するためコーヒーオイルの持つ美味しい成分をそのまま抽出する事ができます。
結果、ペーパードリップはスッキリした味わいになり、マキネッタはコクの深い味わいになります。
登山では味の濃いものを体が欲するため、コクの強いマキネッタの方が適しているといえます。
このマキネッタ、1cup用から18cup用までさまざまな大きさがあります。
画面左から、3cup、6cup、18cupです。
18cupは2リットルのペットボトルと同じくらいの大きさです。
1cup用といってもちっちゃなデミタスカップ(エスプレッソを飲むカップ)で1杯用なので、
3cup用で通常のコーヒー1杯分くらいになります。
ソロ登山なら3cup用、カップルで行くなら6cup用がおすすめです。
ちなみに決められたcup数以外を淹れようとしても(水の量を減らして6cup用で3cup分入れる、等)上手く淹れられません。
個人使用なら1人分のマキネッタ、数人で飲むなら大きいマキネッタを用意する必要があります。
こういうちょっと融通がきかない所もまた味があります。
【マキネッタの美味しい淹れ方・使い方】
こちらの動画で、マキネッタの使い方・片付け方をご紹介しています。
手順は下記の通りです。
■1
下部容器(ボイラー)に水を入れる。蒸気口まで水を入れず、手前まで入れます。
■2
バスケットに粉を詰めます。粉の粒度はエスプレッソ用(極細引き)ではなく中細引き。細かすぎるとバスケットが詰まりやすくなります。
粉は乗せるようにバスケットに入れます。グッと押し固めるとお湯が粉の層を通れずに蒸気が噴き出す要因になります。
■3
弱火にかける。
■4
コーヒーが吸い上がると良い香りが漂います。
(蓋をあけると噴き出たコーヒーが飛び散るので蓋は閉めます)
ポコポコという音が鳴ったら抽出完了です。
■5
モカコーヒーは濃いめに抽出されているので、砂糖を入れた方が美味しいです。
個人的には「砂糖を入れて完成するコーヒー」だと思います。
【マキネッタのお手入れ・メンテナンス方法】
マキネッタはコーヒーのオイル成分が味の決め手なので、本体を洗剤で洗ってはいけないと言われています。
よほど汚れていない限りは水洗いをするのがイタリアでの鉄則。
感覚としては鰻屋のタレの壺のようなものです。
ただ個人的には、毎日使うなら水洗いでいいのですが、日が空くようならちゃんと洗剤を使って洗った方が衛生的なのではと思います。
私は洗剤を使わずにスポンジで汚れを落とし、臭いが気になってきたらたまに洗剤で洗っています。
中のアルミフィルターですが、細かいエスプレッソ粉を使うと目詰まりしやすくなります。
詰まると蒸気口からピーッと音がして蒸気が噴き出すので、フィルターのメンテナンスも忘れずに行って下さい。
中のパッキンやパーツが劣化したら個別で取り寄せが可能です。
【マキネッタの欠点・デメリット】
登山用品は基本的に「コンパクト」で「軽量」である事が推奨されています。
マキネッタは、かさばるし重いので登山には不向きと言えます。
(18cupのマキネッタを外付け装備。重さは約1kg。ザックは60リットル)
ただ、このデメリットを補う「うまさ」がマキネッタにはあります。
「困難な長い行程を登って多くの山頂を踏みたい」ならオススメできませんが、
「今日は山で美味しいコーヒーが飲みたい」なら、マキネッタはオススメです。
あとは抽出後に本体が熱くなっているのですぐに片付けるのができない点、
2杯目を入れる際に中のバスケットを掃除しないといけない点がデメリットではあります。
(中のバスケットは個別売りしています。予備を持っていればバスケットを取り替えての連続抽出も可能です)
【マキネッタの魅力】
アウトドア用のコーヒーミルで、エスプレッソ用の豆をゴリゴリと挽く。
コーヒー豆の香ばしい匂いがあたりに漂い、自然豊かな山の匂いと交じり合う。
マキネッタに湧き水とコーヒー粉をセットし、火にかける。
しばらくすると、ポコポコという音とともに再びコーヒーの甘く香ばしい薫りが漂う。
この「薫り」を存分に楽しめるのがマキネッタの素晴らしい点です。
パーコレーターも抽出時の香りが良いのですが、マキネッタは味わいも豊か。
ドリップのように淹れ方で味が変わらず、毎回安定して美味しいコーヒーが淹れられます。
香りも味も、ハイレベルなコーヒーが楽しめます。
マキネッタは自然豊かな場所でのコーヒータイムにおすすめのアイテムです。