豊岡に引っ越したので、豊岡の偉人・世界的冒険家の植村直己さんの書籍を読み返しています。
本の始めのほうに植村氏が明治大学山岳部に入って先輩にしごかれ「新人哀歌」を歌わされる部分があります。
新人哀歌、実際の曲を聞いたことなかったな…どんな感じのメロディなんだろう…?
気になって調べてみたら、切ないメロディは確かに哀歌で、昭和感あふれる歌詞は令和の今なら即退部されるのではという内容でした。
新人哀歌の歌詞や動画・元ネタの原曲などをご紹介します。
新人哀歌のYoutube動画
Youtubeの「新人哀歌」で一番再生回数が多い動画がこちらです。
せつないメロディですね…。なお、原曲は軍歌(兵隊節)の「可愛いスーチャン」です。
新人哀歌の歌詞について
新人哀歌の歌詞はこちら。ワンゲル版などもあるそうです。
「新人哀歌」作詞者:不詳
1.いいぞいいぞと おだてられ
死に物狂いで 来てみれば
朝から晩まで 飯たきで
景色なんぞは 夢のうち
2.チーフリーダーは 爺くさい
サブリーダーは 婆くさい
あとのメンバーは エロくさい
メッチェン通れば 頭右
3.二年部員は 小生意気
先輩なにかと 話好き
地獄の二丁目 山岳部
好んではいる 馬鹿もいる
4.蝶よ花よと 育てられ
何の苦労も 知らないで
ボッカ稼業に 身をやつし
泣き泣き登る 雪の山
5.家へ帰ればお坊っちゃま
山へはいれば 新部員
何の因果でしごかれる
まぶたに浮かぶ 母の顔
6.いわゆるアノコはお嬢さま
おれはしがない 山がらす
月を眺めてあきらめる
笑ってくれるな お月様
「メッチェン通れば 頭右」ってどういう意味?
2番の歌詞に「メッチェン通れば 頭右(かしらみぎ)」という部分があります。
メッチェン?右を向く? どういう意味なんだろう…?
調べると、Mädchen(メッチェン)はドイツ語で「少女、女の子、未婚女性」という意味。
「頭右(かしらみぎ)」は軍隊の号令で、行進中に顔を敬礼を受ける者のいる右方へ向ける礼とのこと。
【Youtube】練習艦隊、皇太子殿下への「頭右(かしらみぎ)!」@サンパウロ
このメッチェンは「山ガール」的なニュアンスでしょうか。すれ違うときは敬礼の気持ちで視線を送るという意味だったんですね…。
ダンチョネ節で新人哀歌?の謎
「青春を山に賭けて」の新人哀歌の部分にはこのような記述があります。
その夜、私はダンチョネ節で新人哀歌を教えられ、泣く思いで歌わされた。
引用:植村直己「青春を山に賭けて」青春の日々/涙で歌った新人哀歌より
Youtube動画の新人哀歌は原曲が「可愛いスーチャン」でした。
ダンチョネ節のメロディはこんな感じです。
このダンチョネ節のメロディには「新人哀歌」で使われていた歌詞は合いません。
ダンチョネ節の登山替え歌は、早稲田大学山岳部部歌となっている「剣の歌」が有名です。
植村氏が入った明治大学の山岳部では、早稲田大学の歌詞とは異なる明治大学版のダンチョネ節替え歌を作っていたのかもしれません。
令和の今だからこそ読みたい「青春を山に賭けて」
初めて「青春を山に賭けて」を読んだのは10年以上昔ですが、令和の今読んでも読みごたえがあります。
グーグル検索やグーグルマップ、現在地がわかるGPSなど情報がたやすく手に入ってしまう現代感覚からすると、植村氏の冒険力・開拓精神には強い感銘を受けます。
植村氏に引っ張られるかのように、何か失敗しても俺もあきらめないぞという気持ちが湧いてきます。
未読の方はもちろん、再読もおすすめです。行動力や挑戦心が弱ってきている人は是非読んでみて下さい。
文春文庫
新装版 青春を山に賭けて/植村 直己 (著)