剱岳を象徴する「試練と憧れ」の石碑。SNSなどでもよく画像が上げられていて知名度が高いです。

この石碑の歴史や言葉の由来・意味などを調べてみました。
目次
「試練と憧れ」の石碑はどこにあるのか・場所について
石碑があるのは、剱岳の西北側登山口・馬場島(ばんばじま)。(→googlemap)
日本三大尾根と称されている有名な早月尾根ルートのスタート地点となる場所で、馬場島の名は戦国武将の佐々成政がここに馬を置いて山越えした伝説に由来しているそうです。
石碑は馬場島の「剣岳鎮魂の社(読み方:しずたまのやしろ)」の脇に設置されています。
「試練と憧れ」の石碑はなぜ設置されたのか
石碑に付いて調べてみると、 日本山岳会(J.A.C.)が発行している会報「山」のno368(昭和51年/1976年 2月発行)に設置当時の記事がありました。
石碑の建立に携わった上市ライオンズクラブ・浜田文二氏の寄稿です。以下の事がわかりました。
・今から約50年前、昭和50年(1975年)10月5日に完成。
・友人をはじめ、剱岳で遭難し亡くなる人が増えている。遭難者の名を刻んだ銅板が増え、設置する場所がなくなってきた。ご遺族の方々のために合同慰霊堂・遭難慰霊碑を建立した。
・総工費は350万円あまり(現在の価格で約700~800万円)
剣岳鎮魂の社では例年、剱岳の山開きの際に安全祈願祭・鎮魂祭が行われています。

副碑の文章・全文について
「試練と憧れ」の由来、元となった副碑の文章はこちらです。

「試練と憧れ」の文字を書いた書家について
彫刻の書は富山県を代表する書家・吉田帰雲(1921-2001)氏によるもの。
上市町に住み、富山県書道連盟委員長を務められました。石碑の裏の堂内の文字「鎮魂」も吉田帰雲氏による書です。
立山ライオンズクラブの「劔岳の諭」全文
「試練と憧れ」の石碑の傍らに、立山ライオンズクラブによる「劔岳の諭」の石碑もあります。
全文はこちらです。
一、剱岳は岩と雪の殿堂である 人身とも鍛錬された人々よ来れ
二、気象は激しく変動する 冷静沈着な行動に徹せよ
三、掟は厳しい 力と勇気をもって
苦難に挑め
四、自然は生命を躍動させる
無垢な姿をとこしえに
五、山に寄せる心のたかまり 剱岳は
逞ましさと豊かさを育くむ
一九七五年一〇月一二日
贈 立山ライオンズクラブ

まとめ & 試練と憧れTシャツについて
試練と憧れの石碑についてご紹介させて頂きました。
早月尾根ルートで「試練と憧れ」の石碑前を通る際には、山で命を失った多くの登山者を想って、気を引き締めて挑みたいものです。
なお、「試練と憧れ」が書かれたTシャツが販売されているようです。
販売店は、馬場島登山口最寄りのコンビニ・ファミリーマート上市中央店。(→googleマップ)
オーナーの久我奈美子さんが上市ライオンズクラブの同意を得て、上市高校生書道部に文字を依頼。上市の町おこしとして2021年7月から製作・販売されています。
Tシャツの価格は2500円(税込)。素材はドライTシャツで、サイズはキッズから7Lまで。カラーも42色と豊富。追加料金330円で名入れ(範囲:3cm×12cm)も可とのことです。

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