登山でよく飲まれる麦茶やスポーツドリンク。ペットボトルやナルゲンボトルで持ち運んで直接口をつけて飲む事もあるかと思いますが、気を付けたいのが雑菌の繁殖です。
口の中には唾液1ミリリットルあたり100万~1千万個の菌がいます。口を付けて飲めば容器内に菌が移り、増殖していきます。冬場の低い気温なら増殖スピードはゆるやかですが、暑い夏場は一気にその数を増やしていきます。
研究データがあります。気温27度の環境下でペットボトルを口飲みした場合、保存料の入っていない麦茶と糖分の入ったスポーツドリンクの細菌増加数は以下の通りです。(詳しい条件はリンク先を参照して下さい)
引用:株式会社エフシージー総合研究所 環境科学研究室 実験データ
麦茶は24時間後の細菌数が23万、スポーツ飲料は2500でした。
【意外と細菌が繁殖する「2日目の麦茶」】
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糖分のあるスポーツドリンクの方が細菌が多いのかと思いきや、麦茶の方が多く増加したという結果となりました。スポーツドリンクは酸性のため、細菌の増殖速度が遅いようです。
ペットボトルの麦茶を登山で持ち歩く場合、もし1泊2日の山行をするなら初日のうちに飲み切り、2日目は新しいペットボトルを開けるようにしたいです。細菌が増加した飲み物を飲んだせいで登山中に下痢や食中毒を引き起こせば、登山の計画を大きく変更しないといけません。麦茶はミネラルが摂れて口もさっぱりするので私も山によく持っていっているのですが、2日目以降のペットボトル麦茶には気を付けたいと思います。
なお、飲み物をコップに注いで飲めば細菌の混入・増加を防ぐことができます。そう考えると蓋がコップになっている山専用ボトルは細菌発生対策にもなっていますし、最高品質の保冷力で冷たいままを長時間キープするので細菌の増殖も抑制してくれます。荷物が重くなるからという理由でペットボトル麦茶を選びがちだったんですが、体調管理のためにも麦茶はサーモスに入れて山に持っていくようにしたいと思います。
【直飲みペットボトルについての追記情報】
● 砂糖と乳成分が入ったコーヒー牛乳は麦茶の32倍の細菌増加を記録したというデータがあります。ミルクが入った甘い飲み物は短時間で飲み切るのが安全です。
● コップに移すのが面倒な人は「インド飲み(戦場飲み)」を推奨します。ペットボトルの飲み口が口に触れないよう、少し離して口に注ぎ入れます。
● 水と緑茶はスポーツドリンクより細菌の増加数が少なく、緑茶は水よりも細菌の数が少ないデータがあります。カテキンの抗菌作用の影響が考えられています。
● 飲み物をコップに移し替えると安全ですが、コップも洗うか拭くかしないと細菌が増えていきます。