山を学術レベルで深く知りたい人におすすめの本「山岳科学」
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【amazon】「山岳科学」著:松岡憲知/泉山茂之/楢本正明/松本潔

 

 

登山誌「PEAKS」のコーナー「MOUNTAIN CULTURE CATALOG」の今月のピックアップで紹介されていた本が、こちらの「山岳科学」。

 

 

山岳科学とは

引用:筑波大学 山岳科学学位プログラム

 

 

山岳科学とは、地質・生態・気象などの「理学分野」、環境工学・土木工学・森林工学などの「工学分野」、森林保護学、造林学、環境経済学などの「農学分野」の3つを基盤とした、山岳環境と人間生活の持続可能な関係を確立する新しい学問分野。2018年に信州大学・山梨大学・静岡大学・筑波大学の四大学で「山岳科学教育(学位)プログラム」が始まり、山岳域の諸問題を解決する「山岳プロフェッショナル」の育成を目指しています。

 

この本はそんな山岳科学の一般向けの入門書として2020年8月に発売されました。

 

青山
登山に関わる仕事をしている人、山を学術研究レベルで深く知りたい人向けの本です。

 

 

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目次と各章の内容について

 

 

「山岳科学」の本はどんな内容で構成されているのか、出版元の古今書院ホームページに目次と各章の概要があったので引用してご紹介します。

 

 

序章 山岳科学がめざすもの

基礎編

第1章 山岳の形成
1地球規模での山地・火山の分布/2プレートテクトニクス/3断層と褶曲/4火山とマグマ/5火山の形成プロセス/6造山運動とアイソスタシー/7氷期-間氷期サイクルと山
コラム:白馬岳山頂の海底起源の岩と化石

第2章 山岳の気象・気候
1気候変動と山のかかわり/2山体の熱力学的影響/3山岳域の気候変動/4冬の降雪,夏の猛暑,局地的な強風/5遠隔地での観測と数値解析/6データを分析し活用しよう
コラム:山でセレンディピティを身に着けよう

第3章 山岳水循環
1山から供給される水/2地表付近の水循環システム/3「流域」という概念/4山地流域における水循環/5積雪と氷河/6おわりに
コラム:山が育む日本の名水

第4章 山岳地形
1山とは侵食が卓越する場/2山の構成物と斜面傾斜/3流水による山地の侵食/4斜「面」の形を決めるマスムーブメント/5氷河による地形改変/6周氷河性の風化とマスムーブメント/7隆起と削剥のバランスと山地発達
コラム:トレイルランニングコースの地形学

第5章 山岳植物生態
1山の植物はどこから来たのか?/2植生の垂直分布/3山岳植生と遷移/4山岳フェノロジー
コラム:1. 山岳域の草原-絶滅のホットスポット- 2. 発酵食品-植物と微生物が織りなす山の幸-

第6章 山岳動物生態
1菅平高原の動植物/2山岳動物生態学とは/3山が動物にもたらすもの ①標高勾配-生物多様性の視点から-/4山が動物にもたらすもの ②障壁-熱帯と温帯の山の違い-/5山が動物にもたらすもの ③レフュージ/6まとめ
コラム:日本アルプスの高山に進出するニホンジカ

第7章 山岳森林科学
1 山岳森林科学の研究対象/2日本の森林と保全/3日本の林業/4木質科学と林産業
コラム:日本の森を代表するブナ林

第8章 山岳炭素循環
1山岳域をめぐる炭素/2伐採前(川上)の森林の炭素循環/3伐採後(川下)の実社会の炭素循環/4山岳を支える土壌圏の炭素循環における役割
コラム:川を流れ下る炭素の行方

引用:古今書院「山岳科学」

 

青山
専門家による山のなりたちなどの解説、「ブラタモリ」的な発見の面白さがありそうです。

 

 

応用編

第9章 山岳災害と防減災
1おそろしい山岳災害/2災害はどのようにして発生するのか/3山岳災害を防ぐことはできるのか
コラム:森林は土砂災害を防いでいるのか?

第10章 山岳リモートセンシング
1山岳環境のモニタリング/2リモートセンシングの概要/3可視・近赤外リモートセンシング/4熱赤外リモートセンシング/5マイクロ波リモートセンシング/6プラットフォーム
コラム:GPSで遭難を回避する

第11章 山岳生物多様性
1山の生物多様性を考えてみよう/2生物多様性の保全および希少生物の保護の意義/3生物多様性の観点から評価する中部山岳域
コラム:富士北麓,精進湖と本栖湖における「フジマリモ」発見

第12章 山岳地域の社会・経済
1山岳地域の多面的機能/2農山村の社会変化と新たな展開/3山岳と農山村計画/4山岳生態系サービスの経済的価値
コラム: 森林セラピー

第13章 山岳ツーリズム
1.観光とツーリズム/2ツーリズムの目的地としての山岳地域/3.山岳ツーリズムの地域的分布/ 4 山岳ツーリズム形態の多様化/5登山とトレッキング/6スキー
コラム:ヨーロッパアルプスの山岳リゾート

第14章 山岳の自然保護制度 91
1山岳の自然保護を考える/2自然保護の歴史と概念/3日本の山岳保護地域制度/4屋久島における自然保護制度
コラム:富士山における自然保護

第15章 山岳の歴史文化
15.1. 山岳と信仰/15.2. 山岳と生業/15.3. 山岳の建築
コラム:山小屋を設計した建築家

第16章 山岳環境問題
16.1. 山岳域での環境問題/16.2 湖沼における環境問題/16.3 山岳域の大気汚染
コラム:日本最高所の研究拠点-富士山測候所での研究活動-

引用:古今書院「山岳科学」

 

青山
山岳災害についてと、第15章の山岳の建築・山小屋を設計した建築家が興味深いです。

 

 

本の価格は専門書プライスでなかなか高価です

 

 

この本面白そうだな、買おうかなと値段を見たら4400円でした。

 

青山
さすが専門書…気軽には買えない価格だ。

 

 

しかも、昨年夏に出版されているのにamazon・楽天市場にまだレビューがありません。

 

読みにくくてお蔵入りになったらどうしよう…と思いつつどんな人が書いたのかを調べてみたら、著者のひとり筑波大学教授の松岡憲知(マツオカ ノリカズ)さんは、フルマラソンを2:58:22のサブスリー(3時間切り。マラソン人口の中で3%程度)で走り、標高差2000m級のウルトラマラソン(距離78km、141km)も走破するガチの山岳ランナーだというのがわかりました。

 

また、2017年に山の専門家育成プログラムのクラウドファンディングをしたときのコメントも見つかりました。

 

 

高校山岳部で登山を始めて山の地形に興味を持ち、山岳地形の研究を志すようになりました。以来、世界各地の山々で「山の動き」を観測しています。これまで、南極、北極、ヒマラヤ、チベット、欧州アルプス、日本アルプスで岩盤の風化や崩壊、表土の侵食、永久凍土や霜柱の挙動を観測し、山の地形が変化するメカニズムを考えてきました。

 

海外では、スイスやノルウェーの研究者の協力により、長年の観測を続けています。野外観測機器の進歩は驚異的で、現地に仕掛けたカメラや多種のセンサーによって、いつ・どんな原因で・どれだけ地形が動くのか、詳しくわかるようになってきました。山岳災害の予測や防止にもつながる研究です。大学の低温実験室でも、現地観測のデータに基づいて、岩石や土を凍らせて、高山の地形を変化させる実験にトライしています。

 

引用:READYFOR

 

 

この教授がかかわっている本は読んでみたい、セミナー代だと思えば安い、と思って注文してみました。

 

 

 

 

不要不急の外出自粛はまだしばらく続くので、勉強期間と思って楽しみたいと思います。

 

 

 

古今書院
山岳科学

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青山
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