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六甲山でよく見掛ける兵庫登山会の看板。詩的な文章で登山者に人生のエールを送っています。個人的にこの看板の文言が好きなので、看板を見掛けるとつい文章を読み込んでしまいます。

 

 

 

先日も山で看板を見掛け、ふと「この看板はどんな人が手掛けているのだろう?」と気になっていたのでインターネットで調べてみました。

 

 

 

 

 


 

【兵庫登山会のリーダーはソウル大文理出身の大気環境の専門家】

 

 

兵庫登山会のホームページ、webページは確認できませんでした。代わりに、兵庫登山会のリーダーさんが書かれた記事が見つかりました。在日本大韓民国民団が運営する「民団新聞」の2008年12月26日のアーカイブ、テーマは「私の年賀状」です。

 

 

 

宇宙船地球号に

 

 果てしなく広がる宇宙空間の一角に、白雲をまとって青く輝く地球は、67億の乗員を乗せて、太陽を回る宇宙船である。その乗員の一員である皆様に、私は熱烈な新年のあいさつを送ります。

 山を越え谷を越え、遠くに続く一本の道、人生という長い長い山道−−。 同じ世代に生を受け、めぐり合った人生なれば、明日に向かって歩む皆様がいつ迄も若く、美しく健康で、笑顔の人生であることを祈ります。

 

盧在植(81)・兵庫登山会リーダー

 

引用:民団新聞の2008年12月26日「トータルニュース」より

 

 

 

「人生という長い長い山道−−」。この文言、まさに兵庫登山会の看板でよく見掛ける言葉です。アーカイブは2008年なので、リーダーの盧在植(ノ・ジェシク)さんは今もご存命であれば91歳。かなりご高齢の方でした。

 

 

 

この宇宙船地球号の例えは私も大好きで、SF作家の星新一さんも年始の挨拶でこのように述べられています。

 

 

 

ことしもまたごいっしょに九億四千万キロメートルの宇宙旅行をいたしましょう。これは地球が太陽のまわりを一周する距離です。速度は秒速二十九・七キロメートル。マッハ九十三。安全です。他の乗客たちがごたごたをおこさないよう祈りましょう。

 

引用:星新一「きまぐれ博物誌」(角川書店)より

 

 

 

なお盧在植さんの顔写真は2008年10月31日付けの朝鮮日報のアーカイブに掲載されています。アーカイブ先のプロフィールは下記の通りです。

 

 

【ノ・ジェシク博士】

 

ソウル大文理(物理学専攻)出身の大気環境の専門家。 1968年・1978年韓国気象会長、1973年原子力研究所環境部長、1976年に韓国の環境問題協議会会長、1992年に韓国の環境技術開発院招待院長を務める。 現在は気象学会名誉会長、IGBP(国際地球圏・生物圏研究計画)韓国委員会枚、生命の森、ナショナルトラストのコンサルタントである。 1953年に国防長官賞、1977年に大統領表彰、1982年に国民勲章ドンベクジャン、1990年に国連のグローバル500の環境賞などを受賞。

 

引用:朝鮮日報 2008年10月31日アーカイブより

 

 

 

兵庫登山会の看板の文言は自然に対する愛情が深いなと思っていましたが、自然環境の専門家だったんですね。

 

 

 

 

 


 

【山の看板の未来形・位置情報認識表示型の電子看板】

 

 

 

 

「個人製作の看板」という人工物を山に設置する行為は非難される事もあるとは思いますが、看板の言葉に気付きや元気をもらったり道しるべにもなったりしたので、個人的には盧在植さんに尊敬の念を抱いています。

 

 

 

環境に配慮した自然素材の看板であり、道案内を兼ねて遭難事故が減るなどの貢献性が高いものなら山の看板はあった方がいいように思います。ただ、個人が看板を設置するという行為は山の地主や管理する県の許可を得られるかというと難しいと思います。

 

 

なので、GPSの位置情報を元にした電子看板が出てきてもいいのではないでしょうか。例えば登山中に位置情報「34°46'41.3"N 135°15'04.8"E」付近に到着すると、iphoneのAirDrop(エアドロップ)のようにスマホに通知が入り「七曲滝の氷瀑は六甲の氷の芸術―! 宝石のように美しく輝く自然。人生は感動の連続でありたい―!」 などのメッセージや分岐地図が表示される。これなら自然環境を損ねることはありません。

 

 

 

看板データの確認は当該座標に到着しないと見れないようにして、看板データの設置もその座標に到着しないと設置できないというシステムにすれば、「その場所でこそ生まれる交流」が楽しめて面白いと思います。そしてゆくゆくは、ちょっと不明瞭な登山道の分岐に善意の登山者が道案内電子看板を次々に設置し、全国のあらゆる場所の登山道分岐で情報が得られるようになれば、道迷い遭難件数は大きく減少できるかもしれません。

 

 

 

間違った道案内情報の修正やイタズラ行為の取り締まり管理などの課題はありますが、コンテンツが完成すれば「新しい登山の楽しみ方」が生まれるのではと思います。登山地図アプリ制作会社(YAMAPさんやヤマレコさんなど)が取り組んでくれる事を願いたいです。

 

青山
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