登山では雨から身を守るために服や靴に防水・撥水処理を行います。メンテナンスをしたウェアがしっかり雨を弾いている様子を見ると、嬉しくなります。
ただ、注意したいのが防水スプレーによる事故。「スプレーを使う時は換気して下さい」と言われても、夏の暑い時期はクーラーをかけて部屋を閉め切っていたいし、冬は暖房で温めた部屋から出ていきたくありません。少し窓を開ければ大丈夫だろう、玄関先やベランダでやればいいのだろう、浴室で換気扇を回せばいいんじゃないか、と思っている人もいるかもしれませんが、思っている以上に防水スプレーは危険で、油断すると中毒症状を引き起こしてしまいます。
私自身、赤ちゃんがいるので色々調べたのですが、防水スプレーの使い方について認識を改める事になりました。今回は防水スプレーによる事故や中毒症状について、端的にまとめて情報をシェアしたいと思います。
【防水スプレーによる事故例・誤った使い方】
私自身やっていて間違っていたのが、「玄関ドアをちょっと開けた程度での防水スプレーを使用」で、配慮が足りなかったのが「マンションのベランダで使用」です。閉め切った室内以外なら大丈夫だと思い込んでいましたが、これらのケースでも中毒症状はおきます。
例えば屋外のベランダで噴霧しても、風向きによっては中身を吸いこんでしまうんです。また、マンションのベランダの形状によっては無風だとガスが周囲に留まる可能性もあります。業界が推奨する使い方は下記の通りです。
●推奨される使用法
・マスクを着けて風通しのいい屋外で使用する
・風向きに注意して使用する
・周囲に人や子供、ペットがいない事を確認する
防水スプレーの中身はマスクを着ける必要があるくらいの劇物なんです。スプレー使用中に、臭いなあ、なんか頭痛いなと思っていましたが実はちょっと危険な状態でした。なお、主な事故発生例としては他に
・暖房や冷房を使っていたので室内で使用した
・車の中で使用した
・屋外だったが向かい風の中で風上に向かって噴霧していた
・浴室で換気扇を回して使用していた
などです。面倒ですが、屋外で使用してマスクも着用する事をおすすめします。
【防水スプレー誤吸引による中毒症状例】
防水スプレーの中身を吸いこんでしまった事で発生する症状は下記の通りです。
●主な症状
咳、息切れ、吐き気、嘔吐、胸痛、呼吸困難
●一部の症状
頭痛、不快感、ふるえ、発熱(40℃)等
●急性中毒の症状
肺浸潤(はいしんじゅん)、肺水腫
中毒が進むと深呼吸ができなくなるくらいに息苦しくなり咳がとまらなくなるようです。また、過敏性肺炎や化学性肺炎などになれば1週間~1か月以上も入院する事になります。また、犬や猫などのペットも肺炎や肺水腫になります。鳥は特に敏感で、少量を吸いこんだだけで落鳥して亡くなってしまいます。
【防水スプレーの使用には十分ご配慮ください】
なお、もし誤って吸いこんでしまって中毒症状が起きたら、「中毒110番」に電話すれば有益な情報を知る事ができます。
●大阪中毒110番(365日、24時間対応)
072-727-2499
●つくば中毒110番(365日、9時~21時対応)
029-852-9999
登山用レインウェアは液状の防水撥水剤を使用する事が多いのでまだ安全ですが、登山用テントやタープの防水処理などでは大量にスプレーを使用します。使用量が増えると中毒症状になる確率も高まりますので、十分ご注意下さい。以上、防水スプレーについての情報のシェアでした。お役にたてば幸いです。