登山を始めたばかりの人の天敵「山をなめるなおじさん」。
楽しもうと思って始めた山登りで、知らない人に頭ごなしに注意されると気分が悪いですよね。

街での普通の生活では基本的に他人に対して干渉することは少ないですが、山では気軽に挨拶したりするため過干渉になることもあり、相手が悪ければマウンティングを取られる恐れがあります。
あの「山をなめるな」の人たちはどんな理由で絡んでくるのか。どうすれば回避できるのか。
私が見聞きした、よくあるケース4点をピックアップしました。見ず知らずの他人に叱られたくない、干渉されたくないという人はひとつに参考にして頂ければと思います。
(※ご紹介したケース以外でも注意される事例はあります)
目次
ケース1:出発時刻が遅い 山をなめてる度 95%
登山の鉄則は早出早着。天候悪化やトラブルで予定時刻通りに進めないことは多々あり、日が暮れると遭難リスクが高まります。選んだ山のコースや難易度・山小屋で宿泊するかなどにもよりますが、だいたいは午前中に登りはじめるのが基本です。
日帰り登山などでは「9時に登りはじめて15時に下山」がよくあるスケジュールです。
「山の世界の一般常識」をまだ知らない人の中には、昼過ぎから山に登ったりしてしまいます。そうすると、すでに山頂に到達して下山中の「山なめおじさん」とすれ違うことになります。その時、おじさんはどう思うか。

ただ、こう思われたときに信頼性の高いアウトドアブランドの登山装備(登山専用のリュック、ウェア、登山靴など)で身を固めていれば、

と、問いただされる確率は低くなります。
ですが、もしTシャツにジーパン&スニーカーで普通のリュックなど遠足の延長のような服装だったら、

と思われて、こんな時間から山頂に行くことをたしなめられる確率が高くなります。
・登山口を10時までには出発する。
・事前に下調べをして目的地まで登って降りてくるまで平均何時間かかるのかを把握しておく。
・登山当日に朝寝坊してしまったなら登山予定を延期する決断も必要。
ケース2:地図を持ってきていない 山をなめてる度90%
これから登る山の登山地図、またはカーナビのような「登山用GPSアプリ」を準備しておくのも山の一般常識です。
ハイキングコースの設備が整った里山なら要所要所に看板があるのでまだ迷いにくいのですが、一般的な山には分岐ごとにわかりやすい地図はありません。登山者は登山地図またはGPSを準備していて当たり前、コンパスなどで方角や進行方向がわかって当たり前という世界です。
登山のことをよく知らない人は「現地に行けば看板で地図や標識くらいあるだろう」「誰かについていったり、誰かに聞けばわかるだろう」と思ってなのか、地図を持たずに登ってしまうことがあります。
途中で現在地がわからなくなって通りがかりの登山者に道を聞いたとして、その人がもし「山なめ」の人だったら、

などと、マウンティングをされる恐れがあります。このとき、もし女性だけで登っていたなら「危ないからおじさんが案内してあげるよ」などとグイグイくるかもしれません。
私自身、六甲山で地図不携帯グループ(見た目もふつうの「動きやすい服装」レベル)に道を聞かれたときは、

と思いました。そのときは予備のコピー地図(メイン登山地図を紛失したとき用)があったのでそれを渡し、迷惑にならないレベルでアドバイスしました。
初心者をさりげなく助けるために、経験者の方は「地図不携帯の人に会ったとき用の予備コピー地図」をもっておくと良いかもしれません。
ケース3:靴がサンダル 山をなめてる度90%
「ジーパンとスニーカー」は非難の対象となりがちな服装ですが、まだ「動きやすい服装」の部類にあたります。登る山・コースによっては別にこの服装でも登れます。(※悪天候時を除く)
私が実際に山で見かけてさすがにそれはどうかと思ったのは「ビーチサンダル」や「ぺたんこ靴(パンプス、ローヒールシューズ)」での山歩き。
登山経験者でその山を何度も登っていてすべて理解した上でサンダルを使うならいいと思いますが、初心者でビーサンはきついです。女性のパンプスも、足をひねって捻挫する可能性がかなり高いです。
一流ホテルやレストランなどでは靴を見てその人の「格」を推測する文化がありますが、登山の世界でも靴を見ればその人がどんな登山スタイルの人なのか、どれくらい本気で登山に取り組んでいるのかをある程度知ることができます。山なめおじさんの餌食にならないように、足元にご配慮ください。
・せめてスニーカーを履く。
・登山だけでなくキャンプなどでも使えるアウトドア用のローカットシューズ(メレルカメレオンシリーズなど)を1足買っておく。
・本気で登山を趣味にしたい場合、登山店で相談して目的に合った靴を買う。
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ケース4:初心者で装備不十分なのにひとりで登山をしている 山をなめてる度75%
ひとり登山は気楽で自由です。新型コロナの影響で三密を避けねばならない今、単独登山人口は増えています。ただ、登山のリスクを真面目に考えるともしものトラブルに対応するためには3~4人パーティくらいで臨むのが安全です。ひとりが大きな怪我をしても、残り3人が交代制でふもとまで搬送したり、救助を呼んだりできます。
登山経験が豊富なベテランだとしても急な体調不良を100%避けることはできませんし、一瞬の気のゆるみで怪我をすることがあります。
一人での登山はリスクをいかに減らして登れるかという経験と知識、十分な体力、事前の準備と適切な登山装備などが必要です。
なので、ジーパンにスニーカーというひと目で「初心者だ」とわかる人がひとりで登っていると、山なめおじさんの標的になりやすいです。
・最初のうちは登山経験のある友人などと何度か一緒に登って経験を積む。
・アウトドアショップのツアー登山に参加したり、登山グループなどに入会する。
・登山専門誌などで単独登山をするための知識をたくわえておく。
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女性ひとりの場合も絡まれやすいです
男性1人での登山ですら危険がともなうのに、女性ひとりとなれば性犯罪に遭うリスクも追加されます。山では「助けて!」と叫んでもパトカーや警察はすぐに来てくれません。
見た感じ初心者の女性だったら山なめおじさんもつい一言いいたくなるでしょうし、勝手に心配してついてくるかもしれません。
なお、女性の場合は経験豊富で登山装備を充実させていても、「女の子がひとりで山を登るなんて」と山なめおじさんが絡んでくる可能性があります。悲しいですが仕方ないものとして、うまく受け流すスキルが必要になってくると思います。
・華やかでかわいいコーディネートはグループ登山用にして、ひとりのときは地味でベテラン感あるコーディネートにする。
・サングラスなどのアイウェアで目元を隠し、話しかけられる隙を作らない。
・勘違いされるので笑顔で挨拶しない。
・護身用に熊スプレーやスズメハチスプレーを腰にぶら下げて威嚇しておく。
・「話しかけにくい人」という印象を与えるタトゥーグッズなどを装備しておく。
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その他の山なめおじさん出没ケース
その他に考えられる「初心者が山をなめるなと言われやすいケース」を箇条書きでご紹介します。
- カバンがトートバッグ
- フリル付きの日傘をさして歩いている
- 雨装備のレインウェアがビニール雨合羽
- 危険な雨雲が近づいてきているのに登ろうとする
- 徹夜明けなどで睡眠不足
- 登山道の崩落やクマ出没の情報が出ているのに対策無しで山に入ってきている
- 冬に氷瀑(凍った滝)を見に行くのにアイゼン(滑り止めのスパイク)を持ってきていない
- 山小屋に日没後に到着
- 登山経験が少なく準備も整っていないのにSNS(youtubeやツイッターなど)のネタ用にふざけた企画内容で登る
山なめおじさんはなんでわざわざ声を掛けてくるのか?
ありがた迷惑でおせっかいなアドバイスですが、山での怪我や事故は命にかかわります。山なめおじさんの中には、自分自身が死ぬような目に会ったり、親しい人を山の事故で亡くした人もいるかもしれません。悲しい思いをする人を減らしたいという気持ちがそうさせている可能性もあります。
また、山で遭難事故が起こるとニュースで取り上げられ、登山をしない一般人から批判されて登山コミュニティ全体に悪影響を及ぼします。
知らない人であろうと、山に来た時点で同じ山を登る「仲間」。同族意識からの注意や先輩面、上から目線のマウンティングなども考えられますが、根底には「安全登山」への意識があるのではないかと思います。

山なめおじさんに注意される「隙」を少しでも減らすためには、登山本などで山の常識を予習しておくのが良いと思います。そういった本はたくさんあるので、是非ご一読頂ければと思います。
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