アメリカの画像特定班が、1枚の画像をもとに遭難者を発見したニュースが話題になっています。
■遭難ハイカーが「写真の特定が趣味の人」により速攻で発見される(livedoorNEWS/GIGAZINE)
https://news.livedoor.com/article/detail/20050340/
アメリカ・カリフォルニア州のウォーターマン山(標高2450 m)で遭難したルネ・コンペアン氏は、友人にこの画像を送って助けを求めました。
引用:【Twitter】LA County Sheriffs(@LASDHQ)
地元の警察がこの画像をツイッターに公開し、「遭難者の車はバックホーンキャンプ場/トレイルヘッドの近くで見つかった、協力求む」とツイート。
ハイカーで趣味が画像の特定というベンジャミン・クオ氏(ツイッターアカウント@ai6yrham)が特定作業に入り、3時間30分後に場所を割り出しました。
Waterman #SAR 34 19.051'N, 117 53.996'W - set the time of day to be 4/12/21 5:54pm pic.twitter.com/LrWkDsCbpi
— AI6YR (@ai6yrham) April 13, 2021
ベンジャミン・クオ氏が割り出した座標を元に救助ヘリが飛び、ルネ・コンペアン氏を発見。命に別状なく無事に救助・保護されました。
ベンジャミン・クオ氏のツイッターアカウント
活躍した特定班・ベンジャミン・クオ氏のツイッターアカウントは@ai6yrham。
ベンジャミン氏が場所を特定したツイートには称賛のコメントがたくさん寄せられました。
Waterman #SAR 34 19.051'N, 117 53.996'W - set the time of day to be 4/12/21 5:54pm pic.twitter.com/LrWkDsCbpi
— AI6YR (@ai6yrham) April 13, 2021
ウォーターマン山の遭難場所のgooglemapリンク
こちらが遭難地点。グーグルマップを3Dにして見てみると、確かに尾根や谷筋が照合できています。
なお、この遭難場所はウォーターマン山の東南2.5kmに位置しているのですが、遭難者の車があったのは北東1.5kmの位置。
広大でいくつもの尾根・谷筋がある山々からベンジャミン氏はどのように場所を特定したのでしょうか?
遭難現場の特定に活かされたジオロケーション技術
スペインのテクノロジーニュースサイトで、ベンジャミン・クオ氏がどのようにして遭難現場を特定したのかを解説していました。
彼が最初にしたことは、ハイカーが行った森の領域を特定することでした。ハイカーに人気のマウントウォーターマンで、遭難者が北に行ったのか南に行ったのかを特定しなければなりません。
彼はまず写真の植生に注目しました。Google Earthで表示される画像はアーカイブのもので最新の風景ではないため特定が困難。代わりに利用したのが、数日ごとに衛星写真が更新されるヨーロッパのSentinel-2の画像。
これにより、植生の量と形状が遭難写真に似た場所を観察することが可能になりました。Sentinel-2の3D表示ツールを使って、遭難写真の風景を検証していきます。
これに加えて、谷筋の影と太陽の位置に注目。グーグルアースとタイムツールを使って谷筋の影を変化させ、場所を特定させました。
引用:XATAKA
Sentinel-2の利用手順はちょっとややこしそうでした。こちらのサイトで使い方が紹介されています。
■【Qiita】無料で最新の衛星画像を入手する方法.
https://qiita.com/nigo1973/items/9bb6a11caac8e3e1e850
遭難したら、画像よりも位置情報を送った方が早いです。
今回、遭難者は友人に画像を送ってから連絡が取れなくなってしまったのですが、画像より位置情報を送る方が正確で早いです。
iphoneなら「コンパス」のアプリを起動すれば北緯と西経が表示されるのでこれをスクリーンショットなどで送れば現在位置を素早く正確に知らせることができます。
また、グーグルマップを起動して、自分がいる場所の青い丸を長押しすると、上部ウインドウに北緯と西経を示す数字列が表示されます。
(注:位置情報サービスをONにして利用)
これらの座標を出す方法を覚えておけば、特定作業をすることなく救助に向かうことができます。